人工芝の下地づくり 材料一式
人工芝を敷くとき、買うものは人工芝だけではありません。むしろ手間の大半は、人工芝を広げる前の「下地」に使います。このページでは、工程の順番どおりに「何を、どれだけ買うか」を整理し、それぞれの数量を出す計算ツールに繋げています。買い物リストを1回で組み立てるためのページです。
なぜ下地で仕上がりが決まるのか
人工芝は、厚みのあるカーペットのようなものです。柔らかくて、下の形をそのまま拾います。下の地面が波打っていれば、その上に敷いた人工芝も波打ちます。石が1つ残っていれば、その位置がぽこりと盛り上がって見えます。人工芝そのものの品質でこれを吸収することはできません。
やっかいなのは、敷き終わってからでないと気づきにくいことです。土の状態で上から眺めているぶんには、多少の凹凸は目に入りません。ところが緑一色の面になったとたん、光の当たり方で凹凸がはっきり見えるようになります。夕方の斜めの光や、寝転がったときの視線で初めて分かる、ということが起こります。直すには剥がして下地からやり直すことになるので、順番として、下地に時間を使うほうが合理的です。
もう1つ、水の問題があります。人工芝には水抜き穴が空いていますが、抜けた水がどこへ行くかは下地次第です。水がたまる窪みが下地に残っていると、人工芝の下が乾かない状態が続き、藻や匂いの原因になることがあります。下地は「平ら」であると同時に、「水が抜ける向きに傾いている」必要があります。この2つを両立させる工程が、これから並べる①と②です。
工程と、そこで買うもの
①不陸調整 ── 掘って、ならす
いまある地面を、人工芝の仕上がり面から逆算した高さまで下げる工程です。芝生や雑草が生えているなら根ごとすき取り、石やガラを拾い、掘り返した土を平らにならします。ここで出た土は、けっこうな量になります。
「どこまで掘るか」は、上に載せるもの(砕石の厚み+人工芝の厚み)の合計から決まります。周囲のコンクリートや玄関のタイルと面をそろえたいなら、その高さから引き算していくことになります。掘る深さを決めるのが、この工程の実質的な作業です。
- 掘った土の処分先(袋、または引き取り先の確保)
- くぼみを埋める、または全体を底上げするための山砂・真砂土
- スコップ、レーキ、一輪車
埋め戻しや底上げに使う砂の量は、面積 × 厚みの体積計算です。袋で買う場合は「1袋あたり何リットル入りか」で割ることになります。
②転圧 ── 締め固めて、勾配をつける
ならしただけの地面は、ふかふかです。そのまま人工芝を敷くと、歩いたところから沈んでいき、数か月後には足跡の形にくぼみます。これを防ぐのが転圧です。砕石を撒いて、上から叩いて締め固めます。
砕石を使うのは、粒の大きさがそろっていない材料(砕石は角ばった石と細かい粉が混ざっています)のほうが、締まって動かなくなるからです。丸い砂利は締まりません。「見た目に敷く砂利」と「下地を締めるための砕石」は別物です。商品名としては「砕石」「クラッシャーラン」「C-40」といった呼び方で並んでいます。
そして、この段階で水が流れる向きに、わずかな傾きをつけます。建物から離れる方向、あるいは排水口や側溝に向かって、少しずつ下がっていく形にします。水平にしてしまうと水が抜けません。傾きは目視ではまず分からないので、糸を張るか水平器を当てて確認する作業になります。
- 砕石(面積 × 厚みぶん)
- 転圧するための道具(タンパー、または転圧ローラー。レンタルという選択肢もあります)
- 水平を見る道具(水平器、水糸、杭)
砕石は重量物です。袋で買うと運搬と保管の負担が大きく、まとまった量ならホームセンターの軽トラ貸し出しや、資材店の配達を使うほうが現実的なことがあります。まず必要量を把握してから、どの買い方にするか決めてください。
③防草シート ── 下から生えてくるものを止める
人工芝の水抜き穴は、水を通すぶん、光も少し通します。人工芝を敷いただけでは雑草は止まりません。スギナやチガヤのように、細く硬い芽を伸ばすものは、人工芝の穴から顔を出してきます。下から突き上げられた人工芝は、その部分だけ浮きます。
これを止めるのが防草シートで、人工芝の直下、砕石の上に敷きます。買うときに見るのは面積だけではありません。シートは端どうしを重ねて敷くので、重ね代のぶんだけ実面積より多く要ります。また、風でめくれないように固定ピンで留めるため、ピンの本数も別に数える必要があります。ピンは外周と重ね部分に集中して打つので、面積に比例するというより「周長と継ぎ目の長さ」で決まります。
- 防草シート(実面積+重ね代)
- 固定ピン(U字ピン)とワッシャー
- ピンを打つハンマー、シートを切るハサミまたはカッター
シートには織布・不織布などの種類があり、耐用年数や遮光の度合いが違います。人工芝の下は一度敷いたら簡単には交換できない場所なので、寿命の短いものを選ぶと、人工芝より先にシートが力尽きることになります。商品ページの耐用年数の表記を確認してから選んでください。
④人工芝 ── 面積ではなく「ロール何本」で買う
ここでようやく人工芝です。注意点は、人工芝は決まった幅のロールでしか売っていないこと。「28.5㎡必要だから30㎡ぶん」という買い方では、幅が合わずに足りなくなることがあります。幅で割って列数を出し、その帯をロールの長さから何本取れるか詰め合わせて、初めて「何本」という数になります。
もう1つ、人工芝の毛は長さ方向に少し寝ています。この向きがそろっていないと、同じ製品でも色が違って見えます。端材を180度回して使い回すことができないということで、これがロール数に効いてきます。
- 人工芝ロール(必要本数)
- よく切れるカッターと替刃(人工芝の裏地は刃が鈍りやすく、1枚では足りません)
- 直線を出すための長い定規、または板
⑤固定・仕上げ ── 継ぎ目と外周を押さえる
敷いただけの人工芝は、風でめくれます。とくに外周が浮くと、そこから風が入って全体があおられます。外周と継ぎ目に固定ピンを打ち、継ぎ目はテープで繋ぐのが基本の形です。
ここで必要な材料の量は、面積ではなく「長さ」で決まります。継ぎ目が何mあるか、外周が何mあるか。人工芝の計算ツールが継ぎ目の合計長さを出しているのは、この見積もりに使うためです。ロールの列数が増えるほど継ぎ目は増えます。
- ジョイントテープ — 継ぎ目の合計長さ以上を用意します。片面テープを下に敷いて接着するタイプと、両面テープで貼るタイプがあります
- 固定ピン(U字ピン・釘) — 外周と継ぎ目に打ちます。下地が硬いと曲がるので、予備を含めて多めに見ておくと途中で止まりません
- 目地砂(珪砂) — 使う場合のみ。毛の間に撒いて毛を立たせ、重さで人工芝を落ち着かせる目的です。厚み数mmを面積にかけた体積で見積もります。使わない仕様の製品も多いので、商品ページの推奨に従ってください
目地砂を使うなら、量は「面積 × 撒く厚み」の体積計算です。袋数への換算は砕石と同じ考え方で出せます。
買い物リストを組む順番
上の工程を、実際に注文する順に組み替えると次のようになります。
| 決める順番 | 決めること | これが決まらないと出ない数量 |
|---|---|---|
| 1 | 敷く範囲の寸法(現物をメジャーで採寸) | すべての数量の出発点 |
| 2 | 仕上がり面の高さ(周囲と面をそろえるか) | 掘る深さ、砕石の厚み |
| 3 | 砕石の厚み | 砕石の量、掘る土の量 |
| 4 | 人工芝のロール規格と、敷く向き | ロール本数、継ぎ目の長さ、端材 |
| 5 | 継ぎ目の長さと外周の長さ | ジョイントテープの長さ、固定ピンの本数 |
4の「敷く向き」を先に決めておかないと、5が出せません。向きを変えるとロールの列数が変わり、継ぎ目の本数も変わるからです。人工芝の計算ツールで向きを比較してから、テープとピンの量に進んでください。
見落としやすいもの
- 掘った土の行き先 — 面積が広く、深く掘るほど、出てくる土の量は増えます。庭の別の場所に盛る、袋に詰めて処分する、どちらにしても事前に決めておかないと、掘り始めてから手が止まります。土の処分方法は自治体によって扱いが違うので、お住まいの自治体の案内を確認してください。
- 人工芝の色ロット — 同じ製品でも、製造ロットが違うと色味がわずかに変わることがあります。後から買い足した1本だけ色が浮く、ということが起こるので、必要量は最初にまとめて確保するほうが揃います。
- 作業できる日数 — 掘る、締める、敷く、留める。それぞれ別の日になっても構いませんが、下地を掘った状態で雨が降ると、泥になって作業が止まります。天気と、途中で中断できる区切りを考えて工程を分けてください。
- ピンが刺さらない下地 — 砕石をしっかり締めた下地は硬く、ピンが曲がることがあります。予備を持っておくと途中で買い足しに走らずに済みます。
- カッターの替刃 — 人工芝と防草シートは、どちらも刃を鈍らせます。切れない刃で切ると線が曲がり、継ぎ目が目立ちます。
この規模をどう受け止めるか
ここまで読んで「思ったより工程が多い」と感じたなら、それが正しい感覚です。人工芝を敷くという作業は、人工芝を買う話ではなく、庭の地面を作り直す話だからです。逆に、コンクリートやベランダの上に敷くなら、この記事の①②③は消えて、④⑤だけになります。同じ「人工芝を敷く」でも、手間の量はまるで違います。
自分の現場がどちら寄りなのか、そして下地からやる場合に何が必要になるのか。判断材料を並べた記事を別に用意しています。