人工芝の下地づくりでつまずく3つの工程
材料の量が分かっても、下地は「やり方」でつまずくことがあります。ここでは実際によく起きる失敗を、症状から逆引きできるように3つに絞って整理しました。買うものの一覧は別ページにまとめてあるので、ここでは「なぜ失敗するか」「どう防ぐか」だけに絞ります。
①高さの基準を決めずに掘り始める
原因は、順番が逆になっていることです。「とりあえず掘ってから、入るだけ砕石を入れて、残りの高さに人工芝を乗せる」という進め方をすると、最後に帳尻を合わせる材料がなくなります。人工芝と砕石には、それぞれ厚みがあります。この厚みの合計を、掘り始める前に決めておく必要があります。
逆算する順番は次のとおりです。
| 順番 | 決めること |
|---|---|
| 1 | 仕上がり面の高さ(隣接する土間・タイルと面をそろえるか、段差をつけるか) |
| 2 | 人工芝の厚み(商品ページに記載の全厚) |
| 3 | 砕石層の厚み(転圧後の仕上がり厚で見る。緩んだ状態の厚みではない) |
| 4 | 掘る深さ=1 − 2 − 3(の合計ぶん、既存の地面から下げる) |
対策:掘る前に、仕上がり高さから逆算した「掘る深さ」を数字で出しておく。現場で目分量で決めると、掘り終わったあとに深さが合わないことに気づき、掘り直すか砕石で帳尻を合わせるかの二択になります。どちらも余計な手間と材料を生みます。
②転圧が足りず、あとから沈む
これは施工直後には分からない失敗です。砕石を撒いただけで、締め固めが不十分なまま人工芝を張ってしまうと起きます。撒いた直後の砕石はふかふかしていて、見た目には平らでも、内部にはまだ隙間が残っています。この隙間は、上を人が歩くたびに少しずつ詰まっていきます。つまり、施工後に「あとから転圧される」状態になり、よく歩く場所ほど沈みます。
転圧が甘くなりやすい原因は主に2つです。
- 一度に厚く撒きすぎる — 厚い層を一度に叩いても、表面しか締まらず、下のほうは緩んだままになります。薄い層に分けて、層ごとに締めるのが基本です。
- 乾いたまま転圧する — 砕石は適度に湿っている方が粒どうしが動いて締まりやすくなります。カラカラに乾いた状態で叩くと、締まらないまま表面だけ固く見えることがあります。
対策:砕石は薄い層に分けて撒き、層ごとにしっかり転圧する。1回で厚みを稼ごうとしないことが、あとから沈まないための一番の分かれ目です。転圧機(プレートコンパクターなど)は道具店でレンタルできることが多く、タンパー(手締め用の道具)より圧倒的に効率的です。
③勾配を意識せず、水平に仕上げてしまう
人工芝には水抜き穴が空いていますが、穴があっても、水はそこにたどり着かなければ抜けません。下地が完全に水平だと、水は行き場を失ってその場にとどまります。「平らに仕上げる」ことだけを目標にすると、この勾配が抜け落ちます。平らであることと、水が流れることは、別の条件です。
厄介なのは、この失敗が目視では分かりにくいことです。数mにつき数cm程度の傾きは、見ただけではほとんど平らに見えます。そのため「見た目で平らに仕上げた」つもりが、実際には水平に近すぎて水が抜けない、ということが起こります。
対策:水平器や水糸を使って、意図的にわずかな傾きをつける。建物から離れる方向、または排水口・側溝に向かって下がっていく形にします。目分量に頼らず、道具で数値として確認しながら転圧するのがポイントです。勾配の付け方や、水たまりが起きるそのほかの原因は別記事で詳しく扱っています。
3つに共通すること
①は「先に数字を決めていない」、②は「見た目で判断して途中を省く」、③は「平らと水平を混同する」失敗です。共通しているのは、どれも施工直後には気づけないということです。①は人工芝を張った直後に段差として現れますが、②と③は数週間から数か月かけて表面化します。だからこそ、下地の工程は「終わった時点できれいに見えるか」ではなく、「数字どおりに進んだか」で確認する必要があります。
掘る深さ、層厚、転圧の回数、勾配の角度。感覚ではなく、事前に決めた数字と道具(メジャー・水平器・水糸)で確認しながら進めることが、結果的に一番の近道になります。
工程ごとに何をどれだけ買うかは、こちらのページにまとめてあります。
- 人工芝の下地づくり 材料一式不陸調整・転圧・防草シート・人工芝・固定。工程順に「そこで何を買うか」を整理しました
- 自分で敷くか、業者に頼むか下地の手間、排水勾配、面積と難易度。判断材料を正直に並べています