防草シートの選び方
防草シートは、売り場では同じような黒いロールが並んでいて、違いが見えにくい材料です。実際には構造がまったく違うものが同じ棚に並んでいます。そして、どれが適しているかは製品の優劣ではなく、上に何を敷くかで決まります。この記事では、選ぶときに見るべき点を整理します。
まず構造:織布と不織布
防草シートは、大きく2つの作り方に分かれます。ここを押さえると、売り場の見え方が変わります。
織布 ── 糸を織ってつくったシート
細い樹脂のテープ状の糸を、縦横に織ってつくられています。布と同じ構造なので、目を凝らすと縦横の織り目が見えます。織物なので引っ張りに強く、裂けにくい。手で持つとしっかりした張りがあります。
一方で、織物には必然的に糸と糸の隙間があります。水はこの隙間を通ります。そして、細くて硬い雑草の芽も、同じ隙間を通ることがあります。スギナやチガヤのように先端が尖った草は、織り目を押し広げて出てくることがあります。
もう1つの特徴が、切り口です。織った糸の集まりなので、カットした端から糸がほつれます。切りっぱなしにすると、端がほどけていきます。
不織布 ── 繊維を絡ませて固めたシート
織らずに、細い繊維を層状に積んで絡ませ、熱や圧力で固めたものです。織り目がなく、フェルトのような見た目と手触りになります。繊維が不規則に絡んでいるので、まっすぐ通り抜けられる隙間がありません。尖った芽が来ても、繊維に当たって進路が変わります。
この構造上、貫通してくる雑草には強い傾向があります。切っても端がほつれません。加工しやすく、扱いやすい材料です。
ただし、繊維を絡ませただけの薄いものは、引っ張りに対して織布ほど強くありません。踏まれる場所、引きずられる場所では、厚みのあるものが選ばれます。
| 項目 | 織布 | 不織布 |
|---|---|---|
| 構造 | 糸を縦横に織る | 繊維を絡ませて固める |
| 見た目 | 織り目が見える | フェルト状で目がない |
| 水の通り方 | 織り目の隙間を通る | 繊維の間を縫うように通る |
| 尖った雑草 | 織り目を押し広げて出ることがある | 繊維に阻まれて出にくい傾向 |
| 引っ張り | 強い | 厚みによる |
| 切り口 | ほつれる | ほつれない |
この表は傾向であって、製品ごとの優劣ではありません。織布にも目を細かくして隙間を減らしたものがあり、不織布にも薄手で軽作業向けのものがあります。売り場では「織布か不織布か」に加えて、次に挙げる厚みの情報を合わせて見ることになります。
厚みと目付が意味すること
パッケージには、厚み(mm)と目付(1平方メートルあたりの重さ、g/m²)が書かれていることがあります。この2つは似ていますが、見ている場所が違います。
- 厚み — シートの断面の高さです。厚いほど、雑草の芽が突き抜けるまでに通る距離が長くなります。また、下の砕石の角が当たったときに破れにくくなります。
- 目付 — 単位面積あたりに、どれだけの量の繊維が使われているかです。厚みだけでは、中身が詰まっているのか、かさが増しているだけなのかが分かりません。目付が大きいほど、繊維が密に入っていることになります。
厚みが同じでも目付が違えば、密度が違います。逆に、目付が同じでも厚みが違えば、ふんわりしているか締まっているかが違います。両方の数字が書いてある製品は、比較しやすい製品です。片方しか書いていなければ、その1つの数字だけで判断することになります。
透水性 ── 排水と直結する論点
防草シートは、雑草を止めるものであって、水まで止めてよいものではありません。水を通さないシートを庭に敷くと、雨水がシートの上に溜まります。上に人工芝や砂利が載っていれば、その下で水が溜まることになります。
起きることは、次のようなものです。
- 水たまりができる — シートの上を水が伝い、低いところに集まります。地面に浸みないので、引くのに時間がかかります。
- シートの下ではなく上が湿ったままになる — 湿った状態が続くと、苔や藻が出ることがあります。人工芝の下は覗けないので、気づきにくい場所です。
- 溜まった水が別の場所へ流れる — 傾きに沿って移動するので、思っていない場所に水が出てくることがあります。
防草シートとして売られているものは、基本的に透水性を持たせてあります。注意したいのは、防草シートではないもので代用する場合です。ブルーシートや農業用のマルチフィルムは水を通しません。「地面を覆えば草は生えない」という発想で水を通さないものを敷くと、排水の問題に置き換わります。
もう1つ、透水するシートを敷いても、地面自体が水を通さなければ水は引きません。粘土質の土や、締め固めた路盤の上ではこれが起こります。シートを疑う前に、そもそもその場所の水はけがどうなっているかを見たほうが、原因にたどり着きます。
上に何を敷くかで、必要な性能が変わる
ここが選び方の中心です。同じ防草シートでも、使われ方によって求められることが違います。
人工芝の下
人工芝が上から覆うので、シートに紫外線は当たりません。踏まれる荷重は人工芝が受けます。一方で、やり直しがきかない場所です。後から「シートを取り替えよう」と思っても、人工芝を剥がすところからになります。
また、人工芝の下は湿気がこもりやすい環境です。透水性が効いてくる場所でもあります。人工芝を留める固定ピンは、シートを貫通して打つことになるので、ピンの穴の数だけシートに穴が空く点も前提に入ります。
砂利の下
砂利は角のある石です。上に載せる時点で、シートに石の角が当たります。その上を歩けば、石が動いて擦れます。人工芝の下より、シート自体が受ける物理的な負担は大きくなります。薄いシートだと、石の角が刺さって穴が開くことがあります。
もう1つ、砂利は隙間の多い材料なので、光が完全には遮られません。砂利の層が薄いと、隙間から光がシートに届きます。また、砂利の上には風で運ばれた土や落ち葉が溜まり、時間が経つとその層自体が雑草の生える場所になります。これはシートの下からではなく、シートの上に積もった土から生えてくるものなので、シートの性能では防げません。
むき出しで使う場合
何も載せず、シートをそのまま見せる使い方です。手間は最も少ない方法ですが、条件は最も厳しくなります。
むき出しで使うなら、紫外線への対策が明記された製品を選ぶという基準になります。逆に、上に何かを載せる予定があるなら、そこにかけるぶんの性能は不要になります。
使い方から逆に見る
- 人工芝の下 — やり直しにくいので、後で困りにくい方を選ぶ。透水性は必須の条件。紫外線への強さは相対的に重要度が下がる
- 砂利の下 — 石の角と擦れに耐える厚み。砂利の層が薄いと光が届く。上に土が積もる問題は別途
- むき出し — 紫外線が主論点。歩く場所なら擦れも加わる
- 植栽まわり・一時的な区画 — 後で剥がす前提なら、扱いやすさと切りやすさが効く
雑草が出るのは、たいてい端と重ね代から
ここまで製品の話をしてきましたが、実際に雑草が出てくる場所は、面の真ん中ではありません。シートとシートの継ぎ目、シートと構造物の境目、そしてピンを打った穴です。どんな製品を選んでも、ここの納まりが甘ければ結果は同じになります。
重ね代(シート同士の継ぎ目)
1枚で覆いきれない面積では、複数枚を並べます。このとき、突き合わせにすると、その線から光と草が通ります。重ねて敷くのが前提です。重ね幅は製品の説明に書かれていることが多いので、それに従うのが基本です。
重ねる向きも意味を持ちます。水が流れる方向を考えて、上流側のシートが上に来るように重ねると、水が継ぎ目に入り込みにくくなります。逆に重ねると、水が継ぎ目の口に向かって流れ込む形になります。
継ぎ目には、専用のテープを併用する方法もあります。重ねただけの状態より、隙間が塞がります。
端(構造物との境目)
塀の足元、境界ブロック、花壇の縁、水道管や柱の立ち上がり、排水枡のまわり。ここが最も雑草の出やすい場所です。理由は単純で、形が複雑でシートを密着させにくいからです。
- 切り欠きが必要な場所 — 柱や配管をよけるには、シートに切り込みを入れます。この切り込みは、そのままだと隙間になります。当て布のようにもう1枚重ねて塞ぐ方法があります。
- 構造物との際 — 隙間なく寄せるほど、草の出る余地が減ります。数cmの隙間があれば、そこは草の生える場所になります。
- 端を立ち上げるかどうか — 壁際でシートを少し立ち上げて留めると、際の隙間が減ります。上に砂利を載せる場合は、砂利で押さえられます。
ピンの穴
固定ピンは、シートに穴を開けて留めるものです。穴からは草が出ます。これは避けようがないので、ピンの数を必要以上に増やさない、という考え方になります。とはいえ、少なすぎればシートが浮きます。どちらも問題を生むので、必要な場所に必要な数を打つという話に落ち着きます。
ピンの打ち方 ── 外周は間隔を詰める
ピンの配置には、単純な原則があります。外周は詰めて、中央は空けるということです。
- 外周 — 風はシートの端から入って持ち上げます。端が浮くと、そこから広範囲にめくれます。外周のピンは、中央より間隔を詰めます。
- 重ね代の上 — 継ぎ目は2枚重なっている場所です。ここにピンを打つと、1本で2枚を同時に留められます。継ぎ目が開くのも防げます。
- 中央部 — 上に人工芝や砂利が載るなら、そちらの重みで押さえられます。外周ほど詰める理由はありません。
- 構造物との際 — 際は浮きやすい場所なので、押さえておきたいところです。
ピンが刺さるかどうかは、下地の硬さで決まります。砕石を転圧した硬い下地では、ピンが曲がります。柔らかい土なら刺さりますが、抜けやすくなります。下地の状態によって、ピンの太さや長さの選び方が変わります。
必要なピンの本数は、面積ではなく外周の長さと配置の間隔でおおむね決まります。何本買えばよいかを先に出しておくと、作業中に足りなくなって止まる、ということが避けられます。
薄いものを張り替えるか、厚いものを長く使うか
選ぶ場面でよく迷うのが、この2択です。どちらが正しいというものではなく、条件で答えが変わります。
| 条件 | 向いている方向 |
|---|---|
| 上に人工芝を敷く | 厚手寄り。剥がしてやり直す手間が大きいため |
| 砂利を厚めに載せる | 厚手寄り。石の角と擦れを受け続けるため |
| むき出しで長く置く | 紫外線への対策があるもの。薄手だと条件が厳しい |
| 数年で庭を作り替える予定 | 薄手でも成立する。張り替え前提の考え方 |
| 畑や植栽の区画・一時的な用途 | 薄手寄り。剥がすこと自体が前提 |
| 面積が広く、脚立が要る場所もない | 張り替え作業の負担で考える |
判断の軸は、「もう一度やるとしたら、どれくらいの作業になるか」です。人工芝の下のように、やり直すのに上のものを全部剥がす必要がある場所は、最初の選択が後まで効きます。逆に、シートの上に何も載っていなくて、いつでも交換できる場所なら、張り替える前提で選んでも成立します。
もう1点。シートを厚くしても、端と継ぎ目の処理が甘ければ雑草は出ます。製品の性能を上げることで解決できるのは、面から突き抜けてくる分だけです。時間をかける先を選ぶなら、端の納まりのほうが結果に直結します。
まとめ:確認する順番
選ぶときに見る点
- 上に何を敷くかを先に決める。ここで必要な性能が決まる
- 織布か不織布か。尖った雑草が多い場所なら構造が効く
- 厚みと目付。両方書いてある製品は比較しやすい
- 透水性。水を通さないもので代用しない
- 紫外線への対策。むき出しで使うかどうかで重要度が変わる
- 重ね代の指定。必要量の計算に効く
- 敷いたあとは、端・継ぎ目・ピン穴が要注意箇所
製品を選ぶ前に、敷く面積と外周の長さを出しておくと、必要量とピンの本数が具体的な数字になります。数字が出てから製品ページを見ると、比較の見通しがよくなります。