ウッドデッキの材質の選び方
ウッドデッキの材料選びに、どれが優れているという答えはありません。どの性質を優先し、どの性質を諦めるかで決まります。腐らない材料は夏に熱くなり、長持ちする材料は加工しにくく、加工しやすい材料は手入れが要る。この記事では、その交換条件を並べます。
大きく3分類で考える
デッキ材の種類は数多くありますが、性質のふるまいで見ると3つに分かれます。この3分類の違いは、同じ分類の中の製品差よりずっと大きいので、まずここを決めます。
| 分類 | 正体 | 代表的な材 |
|---|---|---|
| ソフトウッド | 針葉樹の木材。柔らかく軽い | スギ、ヒノキ、マツ類、防腐処理を施した木材 |
| ハードウッド | 広葉樹の木材。硬く重く、密度が高い | 南洋材・中南米材などの高密度材 |
| 人工木(樹脂木) | 木粉と樹脂を混ぜて成形した材料。木ではない | 中空タイプ/中実タイプの成形材 |
人工木は「木」と名前がついていますが、木材ではなく成形品です。木粉が入っているので木のような見た目になりますが、ふるまいは樹脂に近くなります。この点が、後述する熱と伸縮の話につながります。
性質を並べる
ここは早見表です。それぞれの中身は、このあとの節で分けて説明します。
| 見る点 | ソフトウッド | ハードウッド | 人工木 |
|---|---|---|---|
| 腐る・虫害 | 受けやすい。防腐処理と塗装で抑える | 受けにくい。密度そのものが抵抗になる | 腐らない。虫も食わない |
| 手入れの頻度 | 定期的な塗装が前提 | 塗装しなくても持つ。色を保ちたいなら塗る | 基本は清掃のみ |
| 夏の表面温度 | 上がりにくいほう | 上がるが、木のふるまい | 上がりやすい |
| 質感の変化 | 反り・割れ・ささくれが出る | 色が退色し、灰色へ寄っていく | 変化は少ないが、傷は目立つと残る |
| 重さ | 軽い。1人で扱える寸法が多い | 重い。水に沈む密度の材もある | 種類による。中実タイプは重い |
| 加工のしやすさ | 切る・留めるが楽 | 下穴なしではビスが入らない | 切れるが、切り口の処理が要る |
| 見た目 | 木そのもの。塗装で色を変えられる | 木そのもの。木目が濃く重厚 | 均一。近くで見ると質感が違う |
ソフトウッド ── 扱いやすさと引き換えに、塗装が続く
ホームセンターで手に取れる木材の多くがこの分類です。のこぎりで切れて、ビスがそのまま入り、寸法直しがその場でできます。DIYで自作する場合、この加工のしやすさは大きな利点です。設計を途中で変えても対応できます。
代わりに引き受けるのが、手入れの継続です。屋外に置かれた木材は、紫外線と雨で表面から傷んでいきます。塗装は、その進行を遅らせるための膜です。膜は消耗するので、定期的に塗り直す前提で選ぶことになります。塗り直しの間隔は、日当たり、雨のかかり方、使った塗料の種類で変わります。
ここで正直に書いておきたいのは、塗装が続くかどうかは材料の問題ではなく、生活の問題だという点です。デッキの上の物をどけて、洗って、乾かして、塗る。この一連の作業を数年おきにできるかどうか。できるなら、ソフトウッドは扱いやすい選択肢です。難しいと感じるなら、ほかの分類を先に見たほうが後悔が少なくなります。
ハードウッド ── 長持ちするが、施工の難易度が上がる
密度が高く、水も虫も入り込みにくい木材です。無塗装のまま屋外で長く持つのが最大の特徴で、手入れの負担は小さくなります。放っておくと表面が灰色に退色していきますが、これは腐っているのではなく、日焼けに近い変化です。色味を保ちたい場合は塗りますが、それは劣化を止めるためではなく見た目のためです。
そのぶん、作る側の難易度は明確に上がります。硬いことは、そのまま加工の抵抗になります。
硬い材を扱うときに出てくること
- 下穴なしではビスが入りません — 無理に打ち込むと、ビスの頭がねじ切れたり、材が割れたりします。ビスの本数だけ下穴を開ける工程が加わると考えてください。皿取りまで含めると、さらに手数が増えます。
- 刃物の消耗が早い — のこ刃も、丸ノコの刃も、ドリルの刃も減ります。予備がないと、途中で作業が止まります。
- 重い — 同じ寸法でもソフトウッドと持ち上げた感覚が違います。長い材を1人で運んで位置を合わせる場面が、想像より重い作業になります。
- 切ったあとの微調整がしにくい — 削って合わせるのに手間がかかるので、採寸の精度が結果に出やすくなります。
- アクが出る材があります — 雨のあとに成分が流れ出て、下のコンクリートなどに色が移ることがあります。設置場所によっては気にする点です。
電動工具が揃っていて、下穴を開ける手間を織り込めるなら、DIYで扱えないわけではありません。ただし「木だから同じように切って留められる」という前提では進みません。そこが分かっているかどうかで、作業計画の現実味が変わります。
人工木 ── 腐らない代わりに、夏に熱くなる
木粉と樹脂の成形品なので、腐りません。虫も食いません。ささくれも出ません。手入れは基本的に掃除だけで、塗り直しの予定を人生に組み込まなくて済みます。これは大きな利点です。
一方で、材料としての弱点があります。いちばん重要なのが表面温度です。
裸足で歩く前提なら、熱の話は外せません
樹脂を含む材料は、直射日光が当たると表面温度が上がります。天然木より熱くなりやすく、日なたに置かれた人工木のデッキは、夏場に裸足で歩けなくなることがあります。濃い色ほど上がりやすくなります。
この点が問題になるかどうかは、使い方で完全に分かれます。
- 子どもが裸足で出る/プールを出す — 熱は無視できない論点になります。夏の昼間がいちばん使いたい時間帯なら、なおさらです。
- 屋根・軒・オーニングの下にある — 直射日光が当たらない範囲なら、この弱点はかなり薄まります。
- 建物の北側や、午後は日陰になる位置 — 同じく影響は小さくなります。
- 靴で使う/洗濯物を干すのが主用途 — 表面温度は判断の中心になりません。
設置場所に何時ごろ日が当たるかを、実際に見ておくと判断が早まります。図面ではなく、その場所に立って確かめられることです。
そのほか、人工木で見ておくこと
- 熱による伸び縮み — 樹脂は温度で寸法が変わります。継ぎ目や端部にすきまを見込む設計が前提になっているので、製品ごとの施工要領の確認が要ります。
- 中空か中実か — 中空タイプは軽く扱いやすい一方、断面がパイプ状になります。中実タイプは重く、質感は木に近づきます。
- 切り口の見え方 — 切断すると、成形品の断面が出ます。表面と質感が違うので、木口が見える箇所には処理を考えます。
- 傷は元に戻りません — 木材は削れば表面を作り直せますが、成形品の表面は削り直しが利きにくい面があります。
- 近くで見ると木ではありません — 遠目には木に見えても、手で触れると質感の違いが分かります。ここを重視するかは好みの問題です。
どれが良いかではなく、何を優先するか
最後に、優先したいことから逆に引く形で整理します。複数に当てはまるなら、いちばん譲れないものを1つ選んでください。それが選択の軸になります。
| 優先すること | 向かいやすい分類 | 受け入れることになる点 |
|---|---|---|
| 手入れをしたくない | 人工木 | 夏の表面温度と、質感が木ではないこと |
| 裸足で歩きたい | 天然木(日陰なら人工木も可) | 木は手入れが要る。ささくれの管理も含みます |
| できるだけ長く持たせたい | ハードウッド/人工木 | 施工の難度、または質感 |
| 自分で作りたい・工具は最小限 | ソフトウッド | 定期的な塗装が続きます |
| 木の質感を大事にしたい | ハードウッド/ソフトウッド | 退色や割れなど、経年変化を受け入れること |
| 1人で運んで組みたい | ソフトウッド/中空の人工木 | 耐久性や質感で譲る部分が出ます |
| 将来つくり直す前提で気軽に始めたい | ソフトウッド | 寿命は短めになります |
分類が決まったら、次は寸法です。床板の枚数、根太の本数、束の数は、デッキの大きさと板の向きで変わります。数が出ると、重さも作業量も具体的になります。ハードウッドなら下穴の数、人工木なら継ぎ目のすきまも、枚数が分かってはじめて見当がつきます。
迷いが残るときは、比べる材料を増やす
材質を決めたつもりでも、設置場所の条件で話が変わることがあります。基礎をどう取るか、地面が土か土間か、水がどう流れるか。デッキは地面の上に載る構造物なので、下の状態から切り離して考えられません。
複数の業者に相談すると、同じ庭に対して違う工法が出てきます。基礎の取り方、床板の向き、使う材料の分類そのものが違うこともあります。そこで初めて、何が現場の条件で決まっていて、何が好みで決められる部分なのかが見えてきます。比べたうえで自分で作ると決めるなら、それは材料を持ったうえでの判断です。